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日本の民法(債権法)改正の賃貸借規定が2020年4月1日に施行 — 原状回復の範囲・敷金の返還を明文化、極度額のない個人の根保証は無効

一次出典は日本政府の発表(日本語)です。

2020年4月1日に施行された改正後の民法は、賃借人が賃借物を受け取った後に生じた損傷について原状回復義務を負うが、通常損耗・経年変化については原状回復義務を負わないことを明文化し、敷金の定義と返還のルールを明確化し、極度額を定めない個人の根保証契約を無効とした。また、賃貸借の対抗要件を備えていた場合に賃借物である不動産が譲渡されたときは、賃貸人としての地位が原則として譲受人に移転し、譲受人が賃料を請求するためには所有権移転登記が必要である旨の規定を設けた。経過措置として、原則として施行日より前に締結された契約には改正前の民法が、施行日後に締結された契約には改正後の民法が適用され、施行日後に当事者が合意によって賃貸借契約や保証契約を更新したときは改正後の民法が適用される。ただし、施行日前に保証契約が更新後の債務も保証する趣旨でされ、保証について合意更新がされなかった場合には、施行日後もその保証契約については改正前の民法が適用される。

主な情報

根拠・施行日 「民法の一部を改正する法律」(平成29年法律第44号)。2017年5月26日成立、同年6月2日公布。一部の規定を除き2020年4月1日から施行
賃借人による修繕 改正前の民法には、どのような場合に賃借人が自分で修繕をすることができるのかを定めた規定はなかった。改正後の民法は、①賃借人が賃貸人に修繕が必要である旨を通知したか、又は賃貸人がその旨を知ったのに、賃貸人が相当の期間内に必要な修繕をしないとき、又は②急迫の事情があるときには、賃借人が目的物を修繕することができることとした
賃貸不動産が譲渡された場合 改正後の民法は、賃貸借の対抗要件を備えていた場合に、賃借物である不動産が譲渡されたときは、賃貸人としての地位は原則として譲受人(新たな所有者)に移転するという規定を設けた。また、譲受人が賃借人に対して賃料を請求するためには、賃借物である不動産の所有権移転登記が必要である旨の規定を設けた。譲受人が登記を備えていない間は、賃借人は引き続き従前の賃貸人に賃料を支払うことができ、賃料を供託することもできる
原状回復 — 原則と除外 改正後の民法は、賃借人が賃借物を受け取った後に生じた損傷について原状回復義務を負う一方、通常損耗(賃借物の通常の使用収益によって生じた損耗)や経年変化については原状回復義務を負わないことを明記した。パンフレットは、通常損耗・経年変化に当たる例として、家具の設置による床・カーペットのへこみ、設置跡、テレビ・冷蔵庫等の後部壁面の黒ずみ(いわゆる電気ヤケ)、地震で破損したガラス、(破損・鍵紛失のない場合の)鍵の取替えを挙げ、当たらない例として、引っ越し作業で生じたひっかきキズ、日常の不適切な手入れもしくは用法違反による設備等の毀損、タバコのヤニ・臭い、飼育ペットによる柱等のキズ・臭いを挙げている
敷金 改正前の民法には、敷金の定義や敷金返還請求権の発生時期についての規定はなかった。改正後の民法は、敷金を「いかなる名目によるかを問わず、賃料債務その他の賃貸借に基づいて生ずる賃借人の賃貸人に対する金銭の給付を目的とする債務を担保する目的で、賃借人が賃貸人に交付する金銭」と定義し、判例に従い、賃貸借契約が終了して賃借物が返還された時点で敷金返還債務が生じること、その額は受領した敷金の額からそれまでに生じた金銭債務の額を控除した残額であることというルールを明確化した
個人の根保証の極度額 個人(会社等の法人以外の者)が保証人になる根保証契約については、保証人が支払の責任を負う金額の上限となる「極度額」を定めなければ、保証契約は無効となる。極度額は「○○円」などと明瞭に定め、書面に記載しておかなければならない
元本確定事由 法務省のパンフレットは、個人が保証人になる根保証契約について、次の事情(元本確定事由)があったときは、その後に発生する主債務は保証の対象外となるとまとめている。①債権者が保証人の財産について強制執行や担保権の実行を申し立てたとき②保証人が破産手続開始の決定を受けたとき③主債務者又は保証人が死亡したとき。パンフレットは、保証に関するルールの見直しの詳細を、法務省ホームページの保証に関するパンフレットで見るよう案内している
経過措置 賃貸借や保証などの契約は、原則として施行日より前に締結された契約には改正前の民法が、施行日後に締結された契約には改正後の民法が適用される。施行日後に当事者が合意によって賃貸借契約や保証契約を更新したときは、施行日後に新たに契約が締結された場合と同様に、改正後の民法が適用される。他方で、施行日前に保証契約が更新後の債務も保証する趣旨でされ、保証について合意更新がされなかった場合には、施行日後もその保証契約については改正前の民法が適用される

最終確認:

2017年5月26日に成立し、同年6月2日に公布された「民法の一部を改正する法律」(平成29年法律第44号)が、一部の規定を除き2020年4月1日から施行された。法務省のパンフレット「賃貸借契約に関するルールの見直し」は、賃貸借に関する改正点を、賃貸借継続中のルール、賃貸借終了時のルール、賃貸借契約から生ずる債務の保証に関するルールに分けて説明している。改正後の民法は、賃借人が賃貸人に修繕が必要である旨を通知したか、又は賃貸人がその旨を知ったのに、賃貸人が相当の期間内に必要な修繕をしないとき、又は急迫の事情があるときには、賃借人が目的物を修繕することができることとした。また、賃貸借の対抗要件を備えていた場合に、賃借物である不動産が譲渡されたときは賃貸人としての地位が原則として譲受人に移転し、譲受人が賃料を請求するためには所有権移転登記が必要である旨の規定を設け、賃借人は賃借物を受け取った後に生じた損傷について原状回復義務を負うが、通常損耗や経年変化については原状回復義務を負わないことを明記し、敷金の定義と返還債務の発生時期を明確化した。保証については、極度額を定めない個人の根保証契約は無効とするというルールが新たに設けられた。経過措置として、賃貸借や保証などの契約は、原則として施行日より前に締結された契約には改正前の民法が、施行日後に締結された契約には改正後の民法が適用される。ただし、施行日後に当事者が合意によって賃貸借契約や保証契約を更新したときは、改正後の民法が適用される。他方で、施行日前に保証契約が更新後の債務も保証する趣旨でされ、保証について合意更新がされなかった場合には、施行日後もその保証契約については改正前の民法が適用される。

以下の要約は政府発表・一次出典に基づく事実整理であり、政策への評価や意見ではありません。

国レベルの制度に基づく整理です。市区町村により制度・運用が異なる場合がありますので、申請前に公式窓口でご確認ください。

よくある質問

壁紙が日焼けした分も借主が負担しなければならないのですか?

法務省のパンフレットは、改正後の民法が、賃借人は賃借物を受け取った後に生じた損傷について原状回復義務を負うが、通常損耗や経年変化については原状回復義務を負わないことを明記したと説明しています。パンフレットは、日焼けしたクロスの張替費用の負担を求められた状況を、この原状回復の明確化の事例(事例3)の導入の状況として挙げています。通常損耗・経年変化に当たる例としては、家具の設置による床・カーペットのへこみ、設置跡、テレビ・冷蔵庫等の後部壁面の黒ずみ(いわゆる電気ヤケ)、地震で破損したガラス、破損・紛失のない場合の鍵の取替えを、当たらない例としては、引っ越し作業で生じたひっかきキズ、日常の不適切な手入れもしくは用法違反による設備等の毀損、タバコのヤニ・臭い、飼育ペットによる柱等のキズ・臭いを挙げています。個別の事案の判断の根拠はパンフレットに例示された範囲までであり、パンフレットはそれ以上の判定基準を示していません。

2020年4月1日より前に結んだ賃貸借契約にも新しいルールが適用されますか?

パンフレットの経過措置の説明によれば、賃貸借や保証などの契約は、原則として施行日より前に締結された契約には改正前の民法が適用され、施行日後に締結された契約には改正後の民法が適用されます。パンフレットの事例では、施行日前に賃貸借契約と保証契約の双方が締結されている場合、敷金について新たに設けられた民法622条の2などの規定は適用されないと説明しています。ただし、施行日後に当事者が合意によって賃貸借契約や保証契約を更新したときは、改正後の民法が適用されます。他方でパンフレットは、施行日前に保証契約が更新後の債務も保証する趣旨でされ、保証について合意更新がされなかった場合には、施行日後もその保証契約については改正前の民法が適用されると説明しています。

保証人に金額の上限を書かないとどうなりますか?

個人が保証人になる根保証契約では、保証人が支払の責任を負う金額の上限である「極度額」を定めなければ、保証契約が無効となります。極度額は「○○円」などと明瞭に定め、書面に記載しておかなければなりません。

一次出典

法務省 — 民法の一部を改正する法律(債権法改正)について www.moj.go.jp ↗

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